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『会長からのメッセージ』(6) 筋かい端部の隙間について

  • 2013年09月04日

※この文章は以前『会長からのメッセージ』としてホームページに載せていたものです。(2004年11月)  お問い合わせが多いものを抜粋して再度掲載しました。


 TIP構法の特徴の一つとして、筋かい端部の隙間(以下クリアランスという)があります。筋かいは一般に縦長の長方形軸組の対角線に沿って斜めに入れますが、長方形の軸組はその頂部に水平力が加わると、変形して平行四辺形になります。変形する前は2本の対角線の長さは同じですが、それが平行四辺形になると1本の対角線は元の長さより長くなり、もう1本は短くなります。

 一般に、筋かいが入っている軸組の対角線は、地震の際、元の長さより長くなったり短くなったりを繰り返します。当然のことですが、対角線が長くなる場合、筋かいは引張力を受け、短くなる場合は圧縮力を受けます。TIP構法では、引張力を受けた場合に筋かい端部に作用する力は釘とガセットプレート(厚12mmの構造用合板を鉄板で補強したもの)を介して柱と横架材に伝える構造にしています。一方、圧縮力を受けた場合はクリアランスがないと種々の「トラブル」が予想されます。一般の在来軸組構法では、通常、筋かい端部を横架材に密着させているため、大地震の最初の一撃で筋かいが真っ二つに折れたり、また筋かいが頑丈過ぎる場合は、筋かいの突き上げで横架材が柱から外れて落下したり、柱がもちあがって土台から外れたり、その結果住宅が傾いたり潰れたりという被害例は少なくありません。軸組構法による木造住宅を大地震が倒壊させるメカニズムはこれらのうちのいずれかにあてはまるのではないでしょうか。TIP構法ではこれらの障害を緩和するために筋かいの上下端に15mm程度のクリアランスを設けています。このクリアランスについては全国各地の建築確認業務担当者や住宅保障機構の現場審査担当者からしばしばお問い合わせをいただきましたが、その都度私が説明して納得して頂いてまいりました。質問の根拠は建築基準法施行例第45条3項の条文です。「筋かいは、その端部を、柱とはりその他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊結しなければならない。」質問を下さった担当者の多くはクリアランスのあることで緊結されていないと思われたようですが、条文にある緊結とは筋かいに作用する力を筋かい端部に近い柱や横架材に伝えられるような仕口にしなさいということで、隙間をあけずにぴったりとくっ付けなさいということではありません。

 TIP構法は前述の様に筋かいに作用する力を、釘とガセットプレートを介して柱や横架材に伝える構造方式なので、力学的に緊結されています。従ってクリアランスは全然問題ありません。私はむしろ、クリアランスの無いことの方が心配です。

 

筋かいに作用する力
 
上図の様に、左側から地震力が作用すると、
骨組は点線のように変形して筋かいには引張力がかかります。
                                                    
上図の様に、右側から地震力が作用すると、
骨組は点線のように変形して筋かいには圧縮力がかかります。

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