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『会長からのメッセージ』(4) 水平荷重対応型軸組

  • 2013年08月23日

この文章は以前『会長からのメッセージ』としてホームページに載せていたものです。(2003年8月) お問い合わせが多いものを抜粋して再度掲載しました。

街で棟上げしたばかりの住宅工事現場を見かけると、思わず立ち止まってしまいます。私の関心は主として外周軸組ですが、平面図が現場ごとに違うため軸組もまちまちです。しかし、どの現場でも見られる共通的な傾向があります。南面は大きいサッシが入るため広くあいていて、その上に大きく立派な胴差が入っています。その隣の小さい幅の開口部(棟上げ直後は開口部でも後で壁になるところです)の上には成(胴差や桁など長方形断面の高さ)が小さく華奢な胴差が入っています。しかし、成の小さい胴差は、よく見ると片方は柱の上に直接載っていますが、もう一方は隣の大きい胴差の一部をかき取った所に載っています。また、周囲をぐるりと見渡すと成の違う数種類の胴差が見えます。

鉛直荷重対応型軸組
鉛直荷重対応型軸組
水平荷重対応型軸組
水平荷重対応型軸組

 住宅金融公庫の共通仕様書によれば「胴差の断面寸法は、荷重の状態及びスパン等を勘案して適切なものとし、特記による」となっています。ということは、スパンや荷重が少ない場合の胴差は成が小さくてもよいが、スパンや荷重が大きい場合は胴差の成を大きくしなさいということです。そこで、スパンや荷重の条件を勘案して成の違う胴差が必要となり、そのため一軒の住宅の外周に数種類の成の胴差が混在することになります。屋根を支える桁についても胴差と同じことが言えます。こうした軸組は上からの荷重(鉛直荷重)に対応した軸組で、この様な軸組を私は「鉛直荷重対応型軸組」と呼んでいます。

 これに対して、TIP構法では外周全部にわたって胴差の成を18cm、桁の成を15cmに揃えることとし、スパンや荷重の大きい箇所については胴差の下にもう1本梁を入れて補強する方法を採用しています。勿論、胴差の成を18cm以上、桁の成を15cm以上にすることには特に問題ありません。大切なことは胴差や桁の成を揃えることです。こうすると、柱の頂部が胴差の底部に密着し、柱と胴差はガセットプレ-トにより直接接合されるので、地震力や台風など横からの力(水平荷重)に強い軸組となります。この様な軸組を私は「水平荷重対応型軸組」と呼んでいます。

 鉛直荷重対応型軸組の水平加力試験では、変位があるところまで進むと、大きい胴差と小さい胴差の継ぎ目のところが壊れて、全体として折れ線状に変形します。そして、こうなると、逆方向から力をかけても元の状態には戻りません。一方、水平荷重対応型軸組では、水平力により胴差はカ-ブ状に変形します。そして、逆方向の力をかけると元の状態に戻ります。また、荷重と変形の関係から見ても、水平荷重対応型軸組のほうが鉛直荷重対応型軸組より勝っていることが判ります。

 以上のことでお判りいただけたことと思いますが、TIP構法で住宅を建てる場合は、必ず「水平荷重対応型軸組」を採用してください。

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